懐かしい味

先日、嫁と飲む。

帰りに喫茶銀座ウエストでマロンケーキを食する。

な、なんとクリームがバタークリームの味。

マズイ〜。

けど懐かしい〜。

多分、現代人は食べたことないよね生クリームじゃないケーキって。

あ〜さくらんぼの偽物みたいなゼリーなのか寒天なのか判定不能な赤い丸いものがのったバタークリームのケーキが食いたい。

飲み物はシャンメリーで。

それは子供の時のささやかな家族の幸せなひと時を思いだす。

クリスマス。
不二家とかタカラブネとかの店先でサンタの格好をした店員がケーキを売っている。

買ってとせがむ俺。

風が寒い。

大きな箱を誇らしげに抱えて家に帰る。

家ではこたつを囲んでろうそくだけを灯して食事をとる。

俺はフライドチキンがいいのに父親は甘だれのローストチキンをいつも買う。

そんなチキンを母親がちぎってくれる。クリスマスなのにいつもの中華っぽい皿の上に。

冷たいローストチキンはあんまりうまくない。大人な味。

いよいよケーキの時間。
俺が運んだケーキ。

帰ってくるときに無意識で箱を斜めにしたみたいでケーキは型くずれ。

いつかのメリークリスマス。それから先はなかった。

今思うとそんな形の悪いケーキの味はバタークリームだったのだ。

TACT/moBILLe＋.