ジェダイ

俺、字が汚い。
これ相当汚い。
何書いてあるか全然分からないとよく言われる。今がパソコンの時代で本当に助かった。
しかし書道初段。
履歴書に絶対書けない俺の隠れた金メダル。
そこんとこヨロシク!


松浦賢二に借りたスターウォーズDVDを俺の息子イッセイが見て、今、奴はスターウォーズにめちゃはまっている。

奴はジェダイの騎士になりたいのだそうだ。



子供からの初めての進路相談。
かみさんはジェダイになるためのアドバイスをイッセイにした。


ごはんいっぱい食べなさい。
ひらがなも書けるようになりなさい。
ひとりで歯を磨けるようになりなさい。
そしたらジェダイになれるよ。


息子はジェダイになるためにごはんをいっぱい食べるようになった。
歯もごしごしひとりでやるようになった。
ひらがなを書こうとかみさんの手本を元に自分の名前を書く練習を始めた。

ひとまずアドバイスは効いた。


しかし俺の息子だ。
字を書くことにたけていないのかもしれない。


手本を模写する途中で「できない!」と放りなげてしまう。

困ったかみさん。ジェダイへの道を閉ざされそうな息子。

そんな閉塞感を救ったのが食卓に置かれた一枚のメモ書きだった。


「ちいさな音。
スポーツ。消えいるように。
169、174、185・・・」
自分自身、何のことかさっぱり分からないが俺が書いた走り書きのメモ。

俺は字が汚い。まして走り書きだ。ミミズがのた打ちまわったような字だ。アラビア文字みたいな字だ。


息子はフォースを得たように(よく知らないけどスターウォーズ)、俺の文字を解読する。

そしておもむろにペンをとり俺の字を模写する。
何かにとりつかれたように模写する。

ママの字は難しい。
パパの字は簡単だ。

スラスラスラスラ、俺の書いた数字をひらがなを息子は書く。


日ペンのミコちゃん?ばりに父親の通信教育を受けている息子。

「ママ、イッセイジェダイになれるかなぁ?」
ランランと輝く息子の瞳に戸惑いを隠せない母親。


そう、残念ながら父親はミミズ文字。


あぁジェダイへの道!

子供もミミズ文字を継承していきそうだ。



そう俺は彼にとってのヨーダになった。



忘れてくれるな。

俺は字が汚い。
誰も読めない。
でも書道初段なのだ。
これ以上の先生でありヨーダはいないさ。



追記
俺の昔話。字が汚いことに悩んだ両親に俺が送りこまれ書道教室は超適当だった。1ヶ月に一度昇級した。
なので一年くらいで初段になってしまった。おかげで小学校高学年まで本当に字がうまいと思っていたのだ。つみつくりな書道先生だぜ。

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