優しい雨
大雨降りしきる金曜の夜中に会社のM井とA柳と終電で帰る。
神奈川と東京の狭間の超ローカルな駅がなぜかMと俺のホームタウン。そのさらに先のローカルタウンに住むAは電車ではもう帰れない。Mが車でAを送ってあげるとのこと。
男3人でローカルな駅のさらにローカルなほうの改札で降りる。しかも傘は2本。Aは傘がない。(井上陽水と。)
俺の傘にAと。
Aは昨日、上司の飲みに付き合って、やっと解放されて、その後に偶然、大崎駅のホームであった同僚のYと朝まで飲んで、Yの家に転がり込んだそうだ。
そして今夜は今夜でMとどっかでメシを食って帰る。
なるほどね、どうりでAは今日眠そうな顔をしていたわけだ。
俺は彼に会社のことを昼間レクチャーしてあげた。でも眠そうだった。俺の話しを聞いているうちは。眠そうな目を一生懸命に見開いて話を聞いていた。
若さゆえの非常にほほえましい話を聞いたと思った。
俺にとってMとAはかわいい後輩であると同時に、自分がすっかり年を重ねてきたのだなという象徴でもある。
先月の16日で出向元の会社を退社して、今の会社に転籍をした。退職の書類に書かれていた勤続年数は12年5ヶ月だった。そんなに社会人やっているのだな。
考えると社会人になったのは昨日のことのようだ。飲みに行ってもみんなが先輩だった。先輩たちの楽しい顔を見るのや話を聞くのが好きだった。
そんな俺だが今は、みんなに話をする機会が増えた。めっきり増えた。聞くことより話す機会のほうが多い。
だからほんのちょっと前まで気張っていた。こうあらねばと思っていた。
今は抜けている。すっかり気張りが抜けている。自分は自分でしかないし、押し付けても押し付けられても相手もしょうがない。
横殴りの雨。ものすごい台風がくる。MとAはどこでその風を受けるのか?
俺は家でぬくぬくするよ。
年を重ねて、過去と今を大事にして、俺は生きている。
年齢的な若さはないかもしれないが、夢がある。
自分自身のいいところとしてほめたいが、いまだに人生にじたばたしている。悩むが、あきらめない。そして満足していない。もっと楽しい明日へ。
人は夢に向かって進むのだ。どんな責任、プレッシャーかぶさっておいで!
そして嵐を超えていけ!
そう元気なおじちゃんになりたいのです。
TACT/moBILLe+.